2004年5月2日〜5月8日

三上 武 (前編)

久保田玄組卒三上っす。

皆様GW如何お過ごしでしょうか?
4月の花見に引き続き、外で飲んだり食ったりすることの多い季節ですね。
胃腸の調子には気を付けて下さい。

ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、小生現在、スペインのカナリア諸島というところで、
大西洋産水産物を日本、アジア諸国へ輸出する仕事をやっております。
カナリア諸島と聞いてもピンと来る方はそれほどいらっしゃらないかと思うので、少々説明を。

カナリア諸島は、北緯28度(奄美大島とほぼ同緯度)、西経15度近辺に位置し、
7つの小さな島で構成される火山島群です。大西洋からにょっきり顔を出している
カナリア諸島をアトランティス大陸の名残だとした古説もあったようですが、
大西洋プレートの割れ目から噴出した溶岩が形成した、切り立った火山島です。
西アフリカ/モロッコから150kmほどしか離れておらず、
マドリードまでジェットで2時間45分かかるのに、モロッコまではプロペラで1時間しかかかりません。
よって、小さな船外機を付けた小船で密航を企むアフリカ諸国の人間にとっては、
先進国への魅力的な入り口と映るようです。毎月300人近い密航者が逮捕されます。
夜は沿岸警備隊が必死で監視してはいるものの、かなりの密入国者がカナリアへ紛れ込み、
欧州本土へ散らばっていきます。
EU内部でもカナリアにもっと厳重な密入国対策を求める声が大きくなっています。
また、カナリアは南米から欧州へ渡る麻薬の輸送中継基地でもあり、今年に入ってから、
小生の住むグランカナリア島だけで、7000kg以上のコカインが押収されています。
末端価格グラム15000円としても1000億円以上、路上で平気でスニッフィング
(鼻からコカインの粉末を吸い込むやり方)しているガキどもも珍しくありません。

ここまで書くと、とんでもない街のように聞こえますが、むしろカナリアは欧州の避寒地として有名で、
砂浜、リゾートホテル、ゴルフ、カジノと観光地としても退屈しない場所です。
年間通じて20℃以上の気温、低湿度、快晴でない日の方が珍しく、過ごし易いところです。

なぜ、ここで小生が仕事をしているかというと、
大西洋の漁業中継基地としてカナリアが位置づけられているからです。
大手商社、水産会社が拠点を置き、主に頭足類、
つまりタコやイカ等の日本向け買い付けを行っています。
西アフリカの大陸棚は、水産資源の宝庫で、特にタコに関しては、日本の輸入量の8割方が、
モロッコ、モーリタニア、セネガル等の北西アフリカ諸国からもたらされます。
これらの国に居住するのは、環境的にも厳しいし、商習慣も異なります。
よって、曲がりなりにもスペインに
属するカナリアに拠点を置くわけです。

さて、来週より小生、西サハラのタコ凍結工場にて生産指導に行く予定です。
今日はさわりということで、カナリア事情をお話しましたが、
5月終わりには、現地の写真等織り交ぜて、アフリカ水産業界を紹介させて頂きます。


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